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更新日:2023年6月7日

令和5年第2回定例会(知事提案説明要旨)

令和5年第2回定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

はじめに、この度の台風第2号や梅雨前線の影響による記録的な大雨により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、復旧に向けて大変なご尽力をいただいている皆様などに心から敬意と感謝の意を表する次第であります。

本県におきましても、2名が負傷されましたほか、住家や道路、農業用施設などに被害が生じており、私が先頭に立って、被害状況の調査を進めるとともに、被災した施設の応急復旧に取り組んでおります。

こうした中、特に住家被害の大きい取手市については、災害対応に精通した県職員など延べ31名を「いばらき災害対応支援チーム」として速やかに派遣し、住家の被害状況の確認などの支援に当たらせるとともに、災害救助法の早期適用に努めた結果、5日に適用を決定したところであります。

県といたしましては、被災された方々が一日も早く日常の生活を取り戻し、安心して暮らせるよう、災害からの早期復旧・復興を進めてまいります。

また、今回の災害において新たに生じた課題については点検・検証を行い、今後の災害対策に役立てるとともに、近年における災害の多様化・激甚化を踏まえ、災害への対応能力の向上と災害に強い県土づくりを一層推進してまいります。

新型コロナウイルス感染症の5類移行

次に、新型コロナウイルス感染症の5類移行についてであります。

先月8日、新型コロナウイルス感染症の位置付けが、季節性インフルエンザと同様の5類感染症に引き下げられ、コロナ対策は「有事」から「平時」の対応へと移行いたしました。これまで3年以上の長きにわたり、常に先手先手で様々な対策を講じてまいりましたが、医療崩壊という最悪の事態を招くことなく、多くの感染の波を乗り越え、この大きな転換点を迎えられたところであります。

改めて、新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、県民の皆様や事業者の方々の対策へのご協力、医療従事者の皆様のご尽力に対し、深く感謝申し上げます。

移行後1か月が経とうとしておりますが、県医師会や医療機関との緊密な連携により、大きな混乱が生じることなく、県民の皆様に適切な医療を提供できております。

今後とも、これまでの対策を通じて得られた知見を活かし、新たな感染症の流行にあっても県民の命と健康を守り抜くため、その備えに万全を尽くすとともに、コロナ禍からの社会経済活動の力強い回復はもとより、本県の将来にわたる持続的な発展を実現できるよう、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の「新しい茨城」づくりにスピード感をもって全力で取り組んでまいります。

物価高騰への対応

次に、物価高騰への対応についてであります。

ウクライナ情勢などを背景とした世界的な物価高騰などの影響により、2022年度の消費者物価指数は41年ぶりの高水準となる前年度比3.0パーセント増、企業物価指数も過去最高の伸び率である前年度比9.3パーセント増となるなど、物価高騰は家計や事業活動に重くのしかかり、コロナ禍からの社会経済活動の正常化に水を差す状況となっております。

こうした中、政府は、物価高から国民生活や事業活動を守るため、本年3月、予備費約2兆2千億円を活用し、エネルギー・食料品価格高騰対策に加え、低所得の子育て世帯への給付金の支給、地域の実情に応じた生活者・事業者支援を目的とした地方創生臨時交付金の増額などを行う追加対策を決定いたしました。

県といたしましても、こうした国の動きに歩調を合わせ、予備費を活用し、低所得の子育て世帯への給付金の支給に速やかに対応するとともに、国の地方創生臨時交付金などを活用し、早急に実施すべき事業を内容とする補正予算を編成し、今回提出させていただいたところであります。

具体的には、価格転嫁が困難な公定価格に基づく収入が大部分を占める医療機関・福祉施設などへの支援のほか、新たに、特別高圧契約で受電する中小企業者などへの電気料金の支援などに取り組んでまいります。

また、物価高騰の影響を受けにくい事業構造への転換を図るなど、将来に備えた投資を促進するため、食品残渣などを活用した飼料の自給化に向けた取組を支援するとともに、従業員のデジタルスキル向上に取り組む企業などを支援してまいります。

これらの取組を通じ、物価高騰による困難に立ち向かう県民生活や県内産業をしっかりと支えながら、この難局を乗り越え、本県の力強い発展につなげてまいりたいと考えております。

つくばエクスプレスの県内延伸

次に、つくばエクスプレスの県内延伸についてであります。

昨年度、県総合計画に位置付けた4方面案の絞り込みに向け、学識経験者などで構成する第三者委員会において、最善となる延伸方面について検討いただき、去る3月31日、土浦方面への延伸を最善とし、土浦駅への接続に優位性が認められるとの提言をいただきました。

県では、第三者委員会からの提言を踏まえ、県内延伸先は土浦方面とし、JR常磐線と接続する駅は土浦駅とする方針案のもと、先月1日から30日までの間、パブリックコメントを実施したところであります。パブリックコメントにおいていただいた283件のご意見を踏まえ、今月末を目途に延伸方面を決定してまいりたいと考えております。

一方、延伸方面の決定後についても、採算性の確保や事業スキームの検討など、大変難しい課題が山積しておりますので、一つ一つの課題解決に取り組みながら、県内延伸構想の具体化に向けた検討を進めてまいります。

今後とも、県勢発展にとって重要な政策課題であるつくばエクスプレスの県内延伸の実現に向け、粘り強く挑戦を続けてまいります。

企業立地の推進

次に、企業立地の推進についてであります。

2022年の工場立地動向調査におきまして、本県は、県外企業立地件数及び工場立地面積が全国第1位となりました。なかでも、県外企業立地件数が第1位となるのは、6年連続であります。知事就任当初から、工業団地の分譲価格の見直しや全国トップレベルの補助制度の創設など戦略的な企業誘致に取り組んできたほか、産業用地の確保に向けた県施行の工業団地開発などの取組が、実を結んだ結果となっております。

加えて、私が特に力を入れて取り組んでいる新たな成長分野の本社機能移転につきましても、民間会社の調査によりますと、昨年の首都圏から本県への本社機能移転企業数は全国第1位の34社となり、本県の取組及び立地優位性が高く評価され、全国に誇り得る結果となっております。

引き続き、半導体や次世代自動車産業など、今後の大きな成長が期待される分野に対する戦略的な誘致活動を展開するとともに、企業立地の受け皿となる産業用地の着実な整備に努め、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。

茨城農業の将来ビジョン

次に、茨城農業の将来ビジョンについてであります。

人口減少により、国内市場の縮小や農業者の減少が進む中、本県農業が持続的に発展していくためには、農業が魅力ある産業として次世代に引き継がれるよう、構造改革を実行し、収益性を高めることが何より重要であります。

そのため、農業者はもとより、広く県民の皆様と本県農業の課題や政策の方向性を共有し、構造改革を加速するため、概ね30年後の将来を見据えた指針として、新たに「茨城農業の将来ビジョン」を策定いたしました。

将来ビジョンにおいては、国内需要の減少に伴い価格が低迷する米から、より収益性の高い園芸品目への転換や、付加価値の高い有機農産物の生産拡大による有機農業先進県としての地位の確立、輸出を意識した産地づくり、常陸牛の世界トップブランド化などを掲げております。

県といたしましては、本県農業の未来を見据えたこの将来ビジョンに基づき、PDCAを回しながら施策をしっかりと展開し、「儲かる農業」の実現に全力で取り組んでまいります。

農産物などの輸出拡大

次に、農産物などの輸出拡大についてであります。

本県農産物の輸出拡大を図るため、これまで、かんしょやコメ、常陸牛を主力に、アジアや北米を主なターゲットと位置付け、輸出先や販売ルートの拡大に戦略的に取り組んでまいりました。

特に、コロナ禍における水際対策が緩和された昨年10月以降、台湾をはじめタイやシンガポールなどにおいて、私自ら積極的なトップセールスを展開し、農産物などの販売促進に取り組み、かんしょや常陸牛などの新たな取引が開始されるなど、着実に成果を上げているところであります。

これらの取組などにより、昨年度の輸出額は、青果物、コメ、畜産物を合わせて、2021年度比で約35パーセント増の13億2千万円と、過去最高額を更新し、知事就任前の10倍まで拡大いたしました。

今後とも、更なる輸出拡大に向け、市場ニーズを踏まえた戦略的な営業活動に取り組むとともに、海外でのトップセールスを加速するなど、新たな市場の開拓に挑戦してまいります。

観光需要の回復

次に、観光需要の回復についてであります。

コロナ禍により疲弊した県内観光業を支援するため、観光需要喚起策として実施してきた「いば旅あんしん割事業」につきましては、昨年度、120万人を超える利用があり、全国からの多くの観光需要の取り込みにつながったところであります。

茨城空港におきましては、コロナ禍においても往来再開を見据えた利用促進や路線拡大に取り組んできた結果、昨年度の旅客数は59万7千人と、過去最高を記録した2019年度の約8割の水準まで回復いたしました。

去る3月25日にはソウルとのチャーター便が就航し、約3年ぶりとなる国際線の運航が再開され、26日からはタイガーエア台湾が台北定期便の運航を始めたところであります。

また、茨城港常陸那珂港区においては、外国クルーズ船の早期再開に向け、水際対策の緩和を関係各所に強く働きかけてきた結果、去る4月21日の「ダイヤモンド・プリンセス」に続き、先月6日には「セブンシーズ エクスプローラー」がいずれも初めて寄港するなど、コロナ禍で相次ぎ中止を余儀なくされた外国クルーズ船の受入を約4年ぶりに再開できたところであります。

さらに、ゴールデンウィーク期間中は、1日当たりの観光入込客数が昨年を上回り、約174万人もの方々に、国営ひたち海浜公園や笠間の陶炎祭など県内各地の観光地にお越しいただきました。

今後とも、コロナ禍からの人流の回復を逃さず捉え、更なる観光需要の獲得を目指し、国内からの観光誘客はもとよりインバウンド誘客を加速させてまいります。

民間活力導入による観光振興

次に、民間活力導入による観光振興についてであります。

先月18日、県内初となるパークPFI制度を活用し、偕楽園の月池地区で整備が進められてきましたパークレストラン「The 迎賓館 偕楽園 別邸」が、グランドオープンいたしました。好文亭や月池などの景観を望むレストランやカフェなどは、偕楽園を訪れた多くのお客様で賑わい、数多くの婚礼や会合で利用されるなど好評をいただいております。特別なおもてなしを提供する迎賓の場として、さらには、訪れた方々の寛ぎと憩いの場として、偕楽園の新たな魅力となり、周辺地域の活性化に大きく寄与するものと期待しております。

また、いばらきフラワーパークでは、民間企業の経営感覚と自由な発想を取り入れた大規模なリニューアルから2周年を迎え、昨年度の入園者数は、約20年ぶりに、25万人を超えるなど、四季折々の花々や自然の魅力を五感で感じられる様々な施設、アクティビティが好評を博しております。

さらに、アクアワールド茨城県大洗水族館では、民間出身の館長のもと、年間を通じた話題づくりに加え、本年3月には、これまでにない距離で生き物たちと触れ合える空間の創出をコンセプトに、屋外エリア「オーシャンテラス」をリニューアルオープンし、昨年度の入館者数は、約15年ぶりに120万人を超えたところであります。

県といたしましては、ポストコロナの観光振興に向けて、今後とも、県内観光施設への民間活力の導入を積極的に推進するなど、魅力ある観光地域づくりに取り組んでまいります。

少子化対策の推進

次に、少子化対策の推進についてであります。

昨年の全国の出生数は、統計開始以来、初めて80万人を下回るなど、我が国の少子化の現状は極めて憂慮される状況にあります。国では、少子化傾向の反転に向け、「次元の異なる少子化対策」を実現するため、経済的支援や働き方改革も含めた幅広な政策の方向性を示す「こども未来戦略方針」の策定を進めております。

私はこれまで、少子化は日本の国力に関わる喫緊の課題であるとの考えのもと、全国トップ水準の小児医療費助成など子育て世帯の経済的負担の軽減をはじめ、仕事と子育ての両立に向けた働き方改革の推進など様々な施策に取り組んでまいりました。

特に、少子化の最大の要因である未婚化・晩婚化対策につきましては、「いばらき出会いサポートセンター」にAIを活用したマッチングシステムを導入するなど結婚支援を強化した結果、AIマッチングシステム導入から2年間で、お見合い実施件数、交際開始に至ったカップル数とも約3倍に増加し、過去最多となる成果を上げたところであります。

また、本年4月からは結婚支援コンシェルジュを配置し、体験イベントを通じた新たな男女の出会いの場の創出に取り組むなど、引き続き、若い世代のニーズに合わせた結婚支援を展開することにより、未婚化・晩婚化対策にしっかりと取り組んでまいります。

県といたしましては、引き続き、国の動向を注視しながら、結婚・出産の希望がかない、安心して子どもを育てられる社会づくりに向け、少子化対策の充実強化に取り組んでまいります。

部活動改革

次に、部活動改革についてであります。

昨年12月、「部活動の運営方針」を改訂し、長時間の活動による生徒のケガや燃え尽き症候群防止などを目的に活動時間の上限などを明確化したところでありますが、生徒や保護者などからの十分な準備期間が足りないとの不安の声に応え、先般、高校生について、3年生の最後の大会が終わるまで猶予期間を設けることといたしました。

またこれに併せ、高校においては、科学的な指導体制の確立、生徒や保護者、指導者の同意、校長の承認などを条件に、外部有識者による審査などを経て、運営方針で定める上限を超えた活動を特例的に認めることとしたところであり、引き続き、生徒の心身の健康を最優先に、各学校における部活動運営方針の適切な運用を支援してまいります。

また、部活動の地域移行につきましては、生徒のための持続可能な活動環境づくりや、教員が本務に専念できる環境の確立を図るため、地域クラブの指導者確保に向けた人材バンクを設置するとともに、市町村への助言などを行う総括コーディネーターを配置するなど、引き続き、市町村において可能な限り早期の地域移行が実現するよう支援してまいります。

今後とも、生徒の心身の健全な育成に向け、部活動の主役である生徒が希望する活動を安心して実施することができるよう、部活動改革にしっかりと取り組んでまいります。

「茨城は捨てづらい」環境づくり

次に、「茨城は捨てづらい」環境づくりについてであります。

本県では、産業廃棄物の不法投棄事案が、ゲリラ投棄の多発などにより2017年度から2020年度の3年間で2倍以上に増加するなど、産業廃棄物の不法投棄や不適正な残土の搬入が後を絶たない状況にあります。

このため、2021年度から、警察OBなどからなる専門チームを設置し、早朝・夜間を問わずパトロールを実施するなど監視・指導体制を強化するとともに、誰でもリアルタイムで通報できるスマートフォンアプリの導入や、有益情報の通報者に対する報奨金制度の創設など発見・通報体制の充実を図りました。

その結果、不法投棄件数は、2020年度の197件から、昨年度は87件と、約6割減少するなど、対策の効果が表れてきたものと考えております。

また、不適正な残土搬入事案については、これまで指導や是正が困難であった事案に対処できるよう、都道府県として初めて、残土の埋立てのみならず、発生から運搬までを規制の対象として、令和4年第4回定例会において改正した「茨城県土砂等による土地の埋立て等の規制に関する条例」を今月1日から施行したところであります。

今後とも、不法投棄や不適正な残土の搬入などの撲滅に向け、警察や市町村など関係機関と緊密に連携し、決して「捨て得」は許さない、厳格な対応を図ることにより、「茨城は捨てづらい」環境づくりを進めてまいります。

提出議案等

次に、提出議案等についてご説明申し上げます。

今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他13件、報告1件であります。

まず、一般会計の補正予算についてであります。

今回の補正予算につきましては、先に申し上げましたとおり、物価高騰の影響を受ける事業者や生活者に対する支援や、県政の課題等へ対応するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。

この結果、今回の一般会計補正予算の総額は、79億24百万円となり、補正後の一般会計の予算総額は、1兆3,001億17百万円となります。

次に、歳出の主なものについて申し上げます。
 医療機関等物価高騰対策支援事業 8億60百万円
 福祉施設等物価高騰対策支援関連事業 13億18百万円
 特別高圧受電施設等電気料金支援事業 17億65百万円
 乾牧草価格高騰激変緩和対策事業 7億52百万円
 いばらきエネルギーシフト促進事業 19億51百万円
などであります。

財源としましては、国庫支出金などを活用いたしますとともに、所要の一般財源42百万円につきましては、一般財源基金からの繰入金を充当することといたしました。

また、債務負担行為の補正は、新規2件であります。

条例は、「茨城県手数料徴収条例の一部を改正する条例」など、改正するもの6件であります。

条例以外の議案としては7件で、「工事請負契約の締結について」などであり、報告は、専決処分の報告であります。

以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

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