ページ番号:69737

更新日:2025年7月7日

ここから本文です。

麻しんの検査(医療機関向け)

麻しんの基礎情報

麻しんは以下の特徴があり、臨床診断をした時点ですべての医師が速やかに管轄の保健所に届け出ることが義務づけられています。

  • 麻しんウイルスは、ヒトを唯一の宿主とするウイルスである
  • 麻しんウイルスに対する免疫を持たない人が感染した場合、ほぼ100%発症する
  • 麻しんの主な感染経路は空気感染であり、感染力はインフルエンザや新型コロナウイルスよりも強い

※感染経路等のより詳しい基本情報はこちら(外部サイトへリンク)をご参照ください。

麻しんの検査

主な麻しんの検査には、遺伝子検査と抗体検査があり、それぞれ採取時期や検査目的が異なります。

検査名 実施施設 検査材料の
採取に適する
時期
目的 備考
リアルタイムPCR検査 地方衛生研究所 発疹出現後
7日程度まで
麻しんウイルス遺伝子の直接検出

保健所を通して依頼する
発疹出現後7日程度までの検体が望ましい

麻疹特異抗体IgM抗体検査
(IgM-EIA法)
民間検査機関 発疹出現後
4~28日目
病原体の初めての侵入に対して起こる早期の免疫応答の有無の確認 発疹出現初期は陰性となる場合がある(偽陰性)
麻疹特異抗体IgG抗体検査
(IgG-EIA法)
1回目(急性期):発疹出現後4日目まで
2回目(回復期):2週間~4週間後
2回の採血(ペア血清)での抗体価の陽転、有意上昇の確認
(罹患歴、ワクチンの効果判定、抗体保有状況などの用途での検査もある)
感染の有無の判断においては、急性期と回復期の採血結果の比較が有用(ペア血清)
  • 麻しんの検査診断においては、「地方衛生研究所での麻しんウイルス遺伝子検査」と「民間検査機関での抗体検査」を同時並行して行っていくことが重要です。抗体検査結果を確認してからの報告では対応が遅れ、感染拡大の危険性が上がってしまうことがあります。
  • 現在は、麻しんと臨床診断された全例に対してウイルス遺伝子の直接検出法による検査診断を実施する(外部サイトへリンク)ことが求められています。

麻しんウイルス遺伝子検査の検体

  • 血液・咽頭ぬぐい液・尿の3検体を対象として検査を行いますので、保健所を通して衛生研究所に検体を搬入してください。
  • 複数種類の検体を検査対象とするのには以下の理由があるため、3検体の検査を行うことが重要です。

【咽頭ぬぐい液】

麻しんウイルスは免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、免疫細胞で増殖したウイルスが気道腔内へ放出されるため、リンパ組織が集まる場所に近い気道腔を拭うことができる「咽頭ぬぐい液」の採取が最も重要です。

【血液(EDTA加血)】

リンパ組織で増殖したウイルスは血液循環へ運ばれるため、血液からも麻しんウイルスを検出することができます。

【尿】

尿からは比較的長期間ウイルスが検出されるとの報告があるため、採取時期が少し遅延した場合でも麻しんウイルスを検出できる可能性があります。

咽頭ぬぐい液イラスト 採血イラスト 採尿イラスト

麻しんは免疫の有無の確認が重要

  • 予防接種イラスト麻しん含有ワクチン2回の接種で約99%の人が免疫を持つことができると言われており、麻しんに一度罹患した場合は、生涯にわたる免疫(終生免疫)を得ることができるとされています。
  • 特に医療従事者においては、ワクチン接種歴や麻しん罹患歴の確認により免疫の有無を確認しておくことが、平常時対応として非常に重要です。
麻しん含有ワクチン接種歴の確認は母子手帳で行いましょう

成人の方の場合、麻しん含有ワクチン接種歴や麻しん罹患歴が幼少期であることが多く、ご自身やご両親の記憶が定かでないこともありますので、母子手帳イラスト母子手帳で正確な情報を確認しましょう。

 

関連リンク

厚生労働省ホームページ(国立感染症研究所感染症情報センター資料)
麻疹の検査診断の考え方(外部サイトへリンク)

東京都感染情報センター
麻しんQ&AIIワクチン関連(外部サイトへリンク)

広島県医師会臨床検査センター
免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM)と疾患(外部サイトへリンク)

このページに関するお問い合わせ

保健医療部衛生研究所ウイルス部

〒310-0852 茨城県水戸市笠原町993-2

電話番号:029-241-6652

FAX番号:029-243-9550

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

質問:このページは見つけやすかったですか?

PAGE TOP

PC版

スマートフォン版