目的から探す
ページ番号:72634
更新日:2025年7月29日
ここから本文です。
石岡市の共有林において、県南農林事務所土浦林業指導所指導員が認可地縁団体制度を活用した森林整備を支援しました。
本県では、県の森林湖沼環境税や森林経営管理制度、森林環境譲与税等の活用により、森林資源の適正な管理・利用に向けた取り組みが行われています。しかし、一部の共有林においては、相続未登記などにより連絡の取れない権利者が増えたことで、森林整備を行おうとしても権利者全員の同意がとれず、整備が進まないといった問題も抱えています。
土浦林業指導所管内の石岡市ににおいても登記上の権利者が100人以上の共有林が存在しており、同様の問題を抱えている状況でした。共有林の設立から数世代が経過したことで、権利者が多岐にわたり、連絡の取れない権利者も多数存在していたため、権利者全員の同意取得ができず、森林整備や立木の販売が困難な状況でした。
共有林の代表者から相談を受けた当指導所では、市や地元森林組合と連携して、問題解決に向け取り組むこととしました。
まず、権利者が不明な森林における森林整備等を進めるために、「共有者不確知森林制度」、「森林経営管理制度における共有者不明森林に関する特例」及び「認可地縁団体制度」の3つの制度の活用について検討を行いました。
それぞれの制度のメリット、デメリットを共有林代表者に説明し、打合せを重ね検討した結果、「認可地縁団体制度」が実情に適しているとの結論にいたりました。地方自治法に基づく「認可地縁団体」は、一定の要件を満たし、所定の手続きを経て法人格を取得した自治会等の地縁による団体です。団体として不動産登記が可能となるため、土地の所有者が権利者名義ではなく、団体名義となり、その後構成員(権利者)の変更があっても、団体が主体となって柔軟に森林整備を行えることが今回の選択理由となりました。
まず、代表者が主体となって、地元森林組合と当指導所が共同で説明会を開催し、「認可地縁団体制度」の説明を行うとともに、代表者からは地縁団体の認可に向けての呼びかけを行いました。
次に、当指導所は、共有林代表者と市担当者の間に入り市から地縁団体の認可を受けるため調整を行うとともに、認可に向けたスケジュールの確認、団体の規約等の書類作成について指導しました。指導からおよそ1か月で認可が下り、法人格を取得することができました。
続いて、所有不動産の登記移転等に係る公告を市に申請するための指導をしました。市において、3か月間公告を行った結果、異議申し立てがなかったため、法務局への登記移転の申請を行い、登記移転が完了しました。
共有林の権利者に向けた説明会の様子
石岡市内の共有林が認可地縁団体へ所有権移転されたことにより、森林整備等を進めるための基盤を整備することができました。地元森林組合と共有林管理団体の連携体制も強化され、現在、地元森林組合と森林整備についての打合せを進め、作業道の開設を計画しています。
また、市においても、権利者が不明な森林の整備に係るノウハウを取得することができました。
本制度の仕組みとして、認可地縁団体の登記移転後であれば、その区域に居住していれば認可地縁団体の構成員になれてしまい、逆に、区域外に居住してしまうと構成員になれないため、制度活用に際しては、元々の共有林の権利者にその旨理解してもらうことが重要です。
なお、今回においては、区域外の元々の権利者については、書面で同意を得ており、また、新規の住民が森林整備に関わってくれることを歓迎していたのでスムーズに本制度を適用できました。
当指導所では、このように、地域の森林整備がよりスムーズに進められるように、引き続き普及指導を行ってまいります。
土浦林業指導所(県南農林事務所林業振興課内)