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更新日:2016年5月19日

マツカレハの被害を受けた若齢アカマツ林の生育

研究報告No.2(要旨)

去にマツカレハの激害をうけた茨城県下の18年生のアカマツ人工林の成長を1965年11月6日から9日に調査した。この林分は、1962年にマツカレハにより大被害をうけ、1963年4月28日から30日に、BHCくん煙剤で、マツカレハを駆除した。その後、マツカレハの被害はなく、調査時の平均胸高直径6.8センチメートル、平均樹高6.5m、ha当りの立木本数5、533本で林冠はうっ閉していた。なお、調査地域には、激害のため、一群のアカマツが枯死した区域や、梢端の枯れているアカマツもみられた。
調査では、樹形の整った区域に9ヵ所の標準地を選び、毎木調査を行なった。この区域から、梢端の枯れたもの7本を含む29本の調査木を伐倒し、樹幹、枝、針葉の生重量を求めた。さらに、調査木の樹幹解析により生育経過を求め、マツカレハの加害による、アカマツの被害状況を明らかにした。
果を要約するとつぎのようになる。

1.アカマツ林の現存量は、ha当り生重(乾重)で、樹幹93.4ton(40.3ton)、枝23.5ton(9.6ton)、針葉14.2ton(5.5ton)となった。

2.新葉と旧葉の比率は、ほぼ3:1で、全葉量の24.9%(生重)、27.5%(乾重)が旧葉であった。

3.マツカレハの被害をうけた1962年の樹高成長は正常であったが、直径成長は、前年の成長量(5.7ミリメートル)に比べ3.1ミリメートルで、すでに被害の影響があらわれている。1963年にはマツカレハは駆除され、新しい被害をうけていないが、樹高成長、直径成長ともに、前年の食害の影響が強くあらわれている。樹高成長(正常では50~60センチメートル)は平均17センチメートル、最もすくない個体では5センチメートルにすぎず、また、直径成長量も平均0.9ミリメートルで、0.1ミリメートルの個体が22個体中4個体もみられた。

4.1964年から成長量は多くなり、1965年には、樹高成長は、ほぼ正常に回復し、その平均は51センチメートルであった。直径成長も大部分回復しているようであった。

5.皮なし幹材積のha当りの連年成長量は、1960年8.6立方メートル、1961年12.7立方メートル、1962年8.1立方メートル、1963年3.4立方メートル、1964年6.7立方メートル、1965年8.9立方メートルで被害の影響を最も強くうけた1963年の成長量は1961年の成長量の4分の1で、ただ一度のマツ力レハの被害でも、その影響は大きい。

6.本調査アカマツ針葉の平均純同化率(a)と非同化器官の平均呼吸率(R)は、a=3.714~2.045g/g・year、R=0.055g/g・yearと推定された。

7.マツカレハの食害状況とその生息数を概略推定すると、本林分で全針葉の60%強が食害されたと思われ、このためには、すくなくとも、ha当り約280,000頭のマツカレハが生息していたことになる。また、梢が枯れたり、枯死したアカマツは約80%またはそれ以上の針葉が被害をうけたと推定された。

8.マツカレハの食害のために、梢の枯れた個体は、樹形が悪くなるだけでなく、成長量も著しくすくなくなっていた。

9.本調査林分の場合、マツカレハの食害による成長減退量を当地での材価に換算すると、駆除費用を上まわっていた。

 

 

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