3.奥久慈県立自然公園
位置図(JPG:21キロバイト)>>公園計画図(PDF:6,062キロバイト)>>
総説
八溝山を中心とする八溝地区と久慈川・久慈山地を中心とする男体地区が公園区域となっています。
八溝地区は、八溝山頂が福島県・栃木県との分境となっています。その自然環境はすばらしく、各県とも県立自然公園としてその保護に当たっています。山頂付近にはブナの原生林と共にダケカンバの大木がみられます。
男体地区の名勝「袋田の滝」は、観瀑トンネルが開通したために安全に滝の正面まで行けるようになりました。周辺の、大子・袋田・湯沢は温泉郷として知られています。
この公園は植物の種類の多いことで知られています。これらの植物を今後とも保護するため、昭和57年県立自然公園では初めて、許可なく採取してはいけない植物として25科76種を指定しました。公園利用者の御協力をお願いします。
文化景観としては、八溝嶺神社、日輪寺、近津神社、光明寺などがあります。
八溝山、男体山地区共にハイキングコースが整備され、日光・那須の連山が一望にすることができ多くの人達に利用されています。
地形・地質
- 八溝山地
八溝山は標高1,022mで県内最高峰です。全体的に見ると高度600~700mの部分が多く、中央が高く周囲に向かって、だんだん低くなる傾向があります。この山塊は、八溝古期岩類と呼ばれる中古生層とその中に貫入した花崗岩類の分布地域とほぼ一致し、山塊の山地地形はこれら古期岩類のつくりだした地形です。
- 久慈山地
八溝山地に比べると規模の小さい山地ですが、北よりも生瀬富士、男体山、篭岩山、武生山(標高400m~650m程度)等があり県内では最も起伏量の大きい山地です。この山地の突出部には、男体山集塊岩と礫岩の地層が分布し、東西両端には断崖絶壁を伴っています。この断崖の成因は、主に集塊岩層と周囲の砂質岩間の岩質の差によっておこる選択侵食作用の結果です。
植物
- 八溝地区
頂上から日輪寺へ下る林道沿いにはみごとなブナ林がみられ、このブナを中心に、ミズナラ、イヌブナ、カエデ類、シデ類が混じって温帯林――落葉広葉樹林が形成されています。この地区は県下では珍しい温帯林的要素を持つ植物が豊富です。カエデ類の外にトチノキ、イヌザクラ、チョウジザクラ、ヤシャビシャクなどで、共に暖温帯林に産するツガ、シラカシ、ヒナウチワカエデが混生しています。
- 男体地区
山頂では岩壁に着生する小型の草本類と共に落葉広葉樹林がみられます。この自然林はイヌブナを中心にケヤキ、ミズナラ、リョウブ、ヤマザクラ、ウリハダカエデ、イヌシデ、クマシデ、ハクウンボクがみられます。袋田の滝周辺では、この地区をタイプロカリティとするフクロダガヤがあります。
- 竜神峡
亀ヶ渕から北の奥竜神の峡谷はきわめて自然度の高い二次林となっています。ウラジロガシ、アラカシ、シラカシ、スダジイの常緑樹とイロハモミジ、ウリハダカエデ、リョウブ、イヌブナ、イヌシデ、アカシデなどの落葉樹が混然一体となって、みごとな樹林美をみせています。
動物
本地域の動物相は県内でも豊富な部類に入っています。
日本の動物地理分布上暖帯性動物群と温帯性動物群の漸移地帯に位置し両者が混交している証拠が昆虫でみられていることも特徴の一つです。
みどころ
- 八溝嶺神社
日本武尊の創建したといわれ、弘法大師が三体観音を刻み安置したと伝えられています。
- 日輪寺
白鳳時代の創設で坂東33札所の第21番八溝観音堂として現在も親しまれているが、数度の火災で昔日の面影はなくなっています。
- 光明寺
月居山に古くからあった観音堂が天狗諸生の戦のときに戦火にあい本尊の観音像だけ龍泰院へ遷座し、昭和17年、現在の月居観音堂を再建、訪れる人の祈願寺としての役割を果しています。
- 法専寺(常陸大宮市)
親鸞関東24輩ゆかりの第19番の霊場で本尊は阿弥陀如来です。
- 近津神社(大子町)
奥州三近津神社の一つとして古くから下野宮の産土神として近隣の尊崇を集めています。境内の鉾杉は県指定の天然記念物で樹令1200年といわれ源義家が戦勝を祈願したとき鉾を立ててかけたためこの名がついたといわれています。社殿の東側にはイチョウの大木がありサクラ、ケヤキ、カシ、サンショウが宿り木をしている珍らしい木です。
- 袋田の滝
日本三大瀑布の一つに数えられている別名「四度の滝」は4段になって流れ落ちるからとも、四季それぞれに趣が異なるためともいわれています。古来から訪れる人も多く、西行法師は「花紅葉よこたてにして山姫の錦織りなす袋田の滝」の一首を残しています。
- 男体山
男体山集塊岩でできているこの山は奇岩、奇勝が多く、また月居山、持方、頃藤、湯沢各方面からハイキングコースが整備され、一般コース、健脚コースとして親しまれています。山頂からの眺望もまた絶景と言えるでしょう。
- 八溝山
福島、栃木と本県の3県にまたがっているこの山は本県では最高峰(標高1022m)であり谷が八方に溝をつくっているところからこの名がついたといわれています。
- 竜神峡
県道常陸太田大子線沿いを流れる山田川の支流竜神川の渓谷で合流点付近に竜神ダムが水をたたえ、それに自然林がおおっている風景はすばらしく紅葉の季節には特に人出があります。ダムの管理道路のつきあたりが亀ヶ渕でその上流は奥竜神と呼ばれ、すばらしい峡谷美を呈し、一般向ハイキングコースではないが武生山方面、湯沢方向に行けます。
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